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4.今後のマンション政策としての具体的施策

(1)管理組合による計画的な管理等の推進

マンションにおいては、 区分所有者等が管理組合を構成し、

管理等を行うために、 管理規約を適切に定めるとともに、

集会を開き、管理に関する意思決定を適切に行っていくことが重要である。

 

管理規約について、当該マンションの実態及びマンションの区分所有者等の意向を踏まえ、

適切なものを作成し、その見直しを適時適切 に行っていくとともに、

常日頃からマンショ ンの維持管理を適切に行っていくことが重要であり、

居住者間及び地域とのコミュニティ形成にも努めることが必要である。

 

また、複数の管理組合が連携し、知識や情報を共有し、管理の担い手や

コミュニティを育むことも有益であると考えられ、

このような取組みも期待されるところである。

また、経年による劣化に対応した将来の大規模修繕等に備えて、

長期修繕計画を適切に作成し、これに基づき修繕積立金を

計画的に積み立てていくことが重要である。

 

マンションの快適な居住環境を確保し、 資産価値の維持・向上を図るためには、

適時適切な維持修繕を行うことが重要であり 、

適切に維持修繕が行われていないマンションにおいては、

早急に修繕 等を行う等の対応が求められる。

 

このため、国土交通省においては、平成20年6月、長期修繕計画の標準様式、

同計画作成ガイドライン等を定めているが、 管理組合においては、

これを参考にしつつ、長期修繕計画の策定・見直し等に努めていくことが必要であり、

国、地方公共団体及び関係団体においては、普及啓発活動等を継続的に行っていく必要がある。

 

なお、現在、マンション管理適正化推進センターが行う修繕積立金の

算出のためのサービス(長期修繕計画作成・修繕積立金 算出サービス)が存在するが、

長期修 繕計画の標準様式、同計画作成ガイドライン 等に準拠した内容であるので、

同算出サービスの活用を推進していくべきである。

また、様々な規模や形態のマンションに対応した修繕積立金の算出を

サポートするためのシステムの充実も必要である。

 

さらに、長期修繕計画の策定等に当たっては、マンション管理士、

マンション管理業者等の活用が考えられるため、

これに対応した研修等の充実も必要である。

また、修繕積立金が計画的に積み立てられるよう、あらかじめ、

滞納者への督促手続きを管理規約等に定め、その実効性を確保することが重要である。

(2)管理状況の適正な評価等

マンションにおける適切な管理状況として、

管理組合の運営状況、修繕積立金の積立状況、修繕履歴や

長期修繕計画の内容等 について情報開示され、

市場でこれらが適切に評価されることは、

マンションの取引が適正に行われるための重要な前提である。

 

また、このような評価により、区分所有者等にとっても、

開示対象の各項目がマンションの管理等が適切に行われているかどうかを示す

指標的な役割を持つこととなり、良質なマンションとして適切に管理等を行っていくための

インセンティブになるという点で重要である。

 

このような観点から、マンションの取引の際に行われる重要事項の説明等において、

修繕積立金の積立状況や管理規約の内容等についての説明が適切に行われることが肝要である。

 

また、マンションの管理に関する情報が適切 に開示されれば、

取引における市場 価格に反映され、資産価値の維持向上に対する

区分所有者の意識が強まるとともに、 中古市場のマンションの活性化につながるものと

考えられるため、マンションの管理状況が開示されることにより、

当該マンションの市場での評価額にどのように反映されるのかについて、

実態の把握や検証を行っていく必要がある。

 

マンション履歴システム(マンションみらいネット)は、マンションについて

管理組合から登録を受け付け、その管理状況や 修繕履歴等を情報開示する仕組みであるが、

管理組合においては、その情報開示によるメリット等についての

理解がなお十分には浸透していない状況にある。

 

現在、 登録による各種の情報提供や支援サー ビス等のインセンティブ付与のための

取組みも行われているところではあり、引き続き、その充実等を図りながら、

情報開示のメリットを訴え、普及を推進していくべきである。

 

これらは、既存住宅の流通の促進という観点からも重要であり、

既存住宅の流通促進策との連携も図っていくべきである。

(3)マンションの管理等の専門家の活用

マンションの管理等は専門的な知識を必要とすることが多く、

区分所有者等は、 問題に応じ、マンション管理士、マンション管理業者等

専門的な知識を有する者の支援を得ながら対応する必要がある。

 

適正化法においては、マンション管理士やマンション管理適正化推進センター、

マンション管理業者等の制度が位置づけられており、建築士、弁護士等の専門家とともに、

必要な助言、 業務等を行ってきているところであるが、

マンション管理士、 マンション管理業者等の能力向上・維持のた めの、

体系的かつ定期的な研修や人材 育成の実施・充実により、

マンション管理士、マンション管理業者等の専門家の能力を向上させ、

マンションの管理の適正化に 資することが重要である。

 

また、地域レベルでは、地方公共団体及び関係団体による相談窓口の設置や相談会の開催、

専門家の派遣等の取組みが行われているところも見受けられ、

こうした取組みを積極的に推進する必要がある。

 

さらに、マンションの管理等に関する支援制度や法制度等について、

国、地方公共団体 及び関係団体が区分所有者等に

分かりやすく普及・周知させるための広 報等の取組みも必要である。

(4)第三者管理者方式の活用による管理の適正化促進

区分所有法では、マンションの管理等を行わせるために、

管理者を選任すること ができるが、この管理者には、区分所有者でも、

区分所有者でない第三者でもなることができることとされている。

 

区分所有者がマンションの管理等の専門家ではないこと、

さらに、最近は区分所有者の高齢化 、賃貸化、管理への無関心化等の進展により

適正な管理等が必ずしも行われていないマンションも見受けられるようになってきたことから、

マンションの管理等に精通した者を管理者として選任し、マンションの管理等を行わせる、

いわゆる第三者管理者方式の活用を図る事例は、今後増加することが見込まれる。

 

また、投資型のマンション等の一定の形態のマンションでは、

区分所有者による管理組合方式の 採用が困難で、第三者管理者方式が

採用されている事例も見受けられるところである。

 

この第三者管理者方式には、管理等に関する権能が集中し、専門家として効率的に

業務を遂行できるというメリットがある一方で、区分所有者ではないこと等から、

区分所有者の意思を離れて、不適切な管理等 が行われるおそれがあるというデメリットもある。

 

また、第三者管理者方式の場合、区分所有者が管理者となる場合と比較して

新たな管理コストが生じるなど、コストの上昇が想定される。

このように、 第三者管理者方式については、管理等を依頼する区分所有者や

管理組合の側においても、管理等を依頼されるマンション管理業者等の

第三者管理者側においても、現在、実際の運用においては、必ずしも、

お互いに安心して依頼し依頼される関係の構築に至っていない。

 

このため、これまでの第三者管理者方式についての調査検討成果も踏まえて、

第三者管理者方式が、管理者となる者及び管理組合の双方にとって

有益な選択肢となり、かつ、第三者管理者方式が適切に活用されるよう、

さらに具体的な検討等を行っていくべきである。

 

まず、第三者管理者方式が機能している様々な事例等の実態把握や第三者管理者方式を

導入しようとするモデル的な管理組合への専門家派遣等の支援等を行い、

事例集の取りまとめ等を通じてノウハウ蓄積を 行うべきである。

 

その過程では、マンション管理業者等の第三者管理者による区分所有者等への

定期的な業務報告といった情報開示及びその業務に対する監査等のチェックの仕組みや

運用、管理コストの低減につながる管理方法、第三者管理者方式の場合の財産の

分別管理等のあり方等の実務面での課題を抽出し、そのうえで、

これらの課題に対する対応方針を検討し、対応策を講ずるべきである。

 

さらに、マンション管理士、マンション管理業者等の関係団体において、

適切な第三者管理者方式が実施されるよう、研修や人材育成等を行うことも

有益と考えられ、このような自発的な取組みも 期待されるところである。

(5)マンションの管理等をめぐる紛争処理への対応

マンションの管理等をめぐる紛争は多岐にわたり、

それぞれの紛争の形態等に対応した処理が求められる。

 

例えば、技術的・ 専門的な知識の不足に伴う紛争については、

専門家等の指導・助言による支援体制を整備することで

一定の対応が可能であると考えられる。

 

また、マンションの管理規約は、マンション管理の最高自治規範であることが

適正化指針に示されているところであるが、マ ンションの管理規約、使用細則等において、

マンションの管理等をめぐる紛争を未然に防止するための

具体的なルールを定めておくことが重要である。

 

たとえば、管理費等の滞納の紛争については、現在、深刻な問題の一つであり、

現行制度上少額訴訟や区分所有権の競売の請求等の対処策が用意されてはいるが、

一定の要件があるなど、滞納に係る紛争の円滑な解決という観点からは

必ずしも十 分ではないとの指摘もあり、滞納に対する段階的な督促手続きや

管理組合による滞納者への制裁措置等を定め、滞納に対する管理組合の姿勢を

区分所有者に明示して、予防的に対応することも考えられる。

 

また、管理組合の運営や管理組合の役員の不適切な業務実施をめぐる紛争、

マンションでの相隣関係をめぐる紛争についても、同様に、

予防的な措置等をあらかじめ定めることが考えられる。

 

これらの管理規約等の定めについて、事例研究等を行い、

参考となる規定事例集の作成とその普及啓発を行うことも有効であり、推進すべきである。

さらに、今後、多岐にわたるマンションをめぐる紛争の中で紛争解決の対象として

適切なものを特定した上で 、第三者機関による裁判外紛争解決手段

(ADR: Alternative Dispute Resolution の略)を導入することも検討すべきである。

 

この 場合、裁判外紛争解決手続きの利用の促進に関する

法律に基づく認証等を活用して導入することも考えられる。

(6)多様なマンション形態に対応した施策

現在、多様な形態のマンションが存在し、

これらの形態に対応した施策を行っていくことも必要である。

 

団地型のマンションにおける管理については、複数の棟のマンションが団地を

構成していることから、団地全体の管理と各棟の管理との間で、

例えば、管理費や修繕積立金の額を棟ごととするのか団地全体での一律の設定とするのかなど、

調整を 要する。各棟により事情が異なる場合は、

なるべく、諸事情に対応して棟ごとに、管理費等の額の設定や徴収等を行うことが

望ましいと考えるが、円滑にこれらが実施されるように、団地型マンションにおける

管理のガイドラインの作成、その適切な管理に資する啓発等が必要である。

 

さらに 、団地型マンションの改修・建替え等の再生についても、前述の通り、

その円滑な実施の上で課題が多い。

これらの課題解決のための検討を進めるべきである。

 

なお、団地型マンションの管理等の実態に関しては、管理規約の現状等、

必ずしも明らかではない面があり、その実態把握等を行うべきである。

 

さらに、近年、超高層マンションが多数出現している。その供給量は最近急増しており、

これから本格的に大規模修繕などが必要な時期を迎えることが見込まれるが、

超高層マンションでの管理の実態等は必ずしも明らかでない面もあり、

引き続き、その実態把握及び課題の抽出を行うべきである。

その上で、必要に応じて、課題に対応した制度、運用等の見直し等を検討していくべきである。

(7)管理組合が機能していないマンションへの対応等

管理への無関心化や担い手の不足により、管理規約が存在していない等、

管理組合が全く機能していないマンションの存在が指摘されている。

 

また、 今後、 高齢化、 賃貸化、無関心化の進行等を背景に、

こうしたマンションが増加するおそれがあるにもかかわらず、

こうしたマンションに対して、現行の制度では、積極的に管理の適正化を促す

有効な施策が行われていない。

 

国、地方公共団体及び関係団体は、引き続き区分所有者等への啓発活動を実施し、

こうしたマンションの発生及び増加を未然に 防ぐとともに、

こうしたマンションの 実態把握に努めつつ、諸外国の事例等も踏まえながら、

こうしたマンションに対する関与のあり方について検討すべきである。

 

また、将来的には、集合住宅の居住形態について、区分所有権による居住のみな らず、

賃貸化や所有・利用の分離化を行うなど、様々な居住形態へと移行していく ことも考えられ、

このような居住形態につい てそのあり方を検討していくことも求 められる。

(8)老朽マンションの再生の促進

老朽マンションの再生は、喫緊の重要課題である。

 

老朽マンションの再生に当た っては、 区分所有者において、

改修・建替え等の再生方法を選択することとなるが、 その過程に関しては、

資金面・ノウハウ面で の不安、区分所有者間での合意形成の困難性への懸念等が

見受けられるところである。

 

したがって、これらの懸念等に対応して、

改修・建替え等に対する支援措置の充実を図っていくほか、

区分所有者がより容易かつ円滑に改修・建替え等に取り組むことのできるよう、

情報提供、ノウハウ等を有する専門家等の関与による事業の実施の推進、

円滑な合意形成を可能とする制度や運用等についての検討を行っていく必要がある。

 

これらについて、国及 び地方公共団体は、資金面での総合的な支援に努めるほか、

必要となる情報の提供、 相談窓口の整備、専門家の派遣等の対策を進めていくことが重要である。

 

また、こ うしたマンションの再生が行われる場合には 、区分所有者や

賃借人の協力を得ることが求められるが、地方公共団体においては、

地域の状況を踏まえつつ、転出や仮移転をするこれらの居住者の居住の安定確保のため、

公共賃貸住宅の活用その他の多様な支援に努めることが求められる。

 

資金面については、区分所有者等による負担を基本としつつも、

居住者が安心して快適な生活を営む上で不可欠な基盤であることに配慮し、

必要な助成のほか、資 金の確保について十分な支援措置が必要である。

 

特に、初動期においては検討費用の確保が難しいことや、費用負担の困難な高齢者、

低所得者等も存在することなどに配慮し、きめ細やかな対策を講じていくことが重要である。

 

地方公共団体においては、地域の状況を踏まえて各種の対策が講じられている一方、

財政状況等の事情から新たな支援措置を設けることが難しいなどの課題もあるところであるが、

特に耐震改修の促進については支援措置の充実が求められるところである。

 

また、耐震性の劣っているマンションのほか、都市全体の居住環境に影響を及ぼすマンションや、

保安上危険又は衛生上有害な状況にあるマンションについては、

都市環境や住宅政策の観点から、国及び地方公共団体としても

積極的に改善を求めていく必要がある。

 

こうしたマンションの改 善が行われる場合には、区分所有者や賃借人は

改善に協力することが求められるが、区分所有者や借家人の転居が必要になる場合も

多いと考えられることから、国及び地方公共団体において居住の安定の確保について

必要な施策を講ずるよう努めるべきである。

 

このほか、大規模な団地における建替えや建築基準法上の既存不適格の解消など、

マンション単体では解決が難しい問題については、国及び地方公共団体としても、

地域の実情に応じて適切な対策を講じていく必要がある。

 

既存不適格の問題については、これまでの事例においては、隣接地の取得や、

マンション建替えにおける総合設計制度の活用などによって対処しているところであるが、

従来の枠組みでは再生を図ることが困難な面もあり、

既存不適格マンションの再生について、多角的な視点から検討することが必要である。

 

また、老朽マンションの再生に関しては、規制改革会議におけるヒアリングや

管理組合等に対するアンケート調査等の結果、 建替え決議、

団地における建替え決議、 被災マンションの再建、 円滑化法における認可手続等に関して、

管理組合や有識者、 事業者が指摘する多くの課題が存在する。

 

このため、建替えに関する手続の合理化を図る観点から、

円滑化法等について法制度上隘路となっている問題の解消を図るなど、

適切な措置を講じていく必要がある。

 

また、耐震性の低いマンションの建替えや被災したマンションの再建が

円滑に進むための措置や、団地における一括建替え、一部建替えや段階的な建替えを

行いやすくするための方策等について、広く検討を行っていく必要がある。

 

この際、多くの区分所有者等が関係する老朽マンションの再生に当たっては、

合意形成等のための取引費用の軽減を考慮すべきであること等を踏まえて、

その仕組みや運用を考えていくべきである。

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